地域連携活動支援事業「東北震災被災地の高齢者の健康支援事業の報告」


平成24年3月25日
特定非営利活動法人 運転免許取得支援センター 代表:神川 麻紀

平成23年度事業の実施

  1. 実施期間 平成23年9月1日〜平成24年3月31日
  2. 実施主体 特定非営利活動法人運転免許取得支援センター
    千葉県松戸市下矢切86番地9号(本所)
    支所:宮城県仙台市青葉区(宮城支所)、東京都墨田区金糸(東京支局)、東京都世田谷区
    URL http://www.for-dab.jp
    連絡先:TEL 03-5699-1613  FAX 03-6203-8515
    東北震災支援プロジェクト専用番号 022-263-2003
    E-mail kamikawa@for-dab.jp
  3. 連携団体 特定非営利活動法人みんなのわ、神戸ユニバーサル研究会
  4. 協力団体 東北大学病院、東京都世田谷区保健福祉センター、ゆり上げ・名取活性協議会、ピース・ジャム、東洋大学大学院ほか
  5. その他 平成23年度事業の実施については、独立行政法人福祉医療機構の助成金にて実施しています。
    仮設住宅の自治体の要望により、物資の配布は特定非営利活動法人運転免許取得支援センター及び連携団体・協力団体の独自資金にて実施しています。

事業の概要

東北震災被災地の仮設住宅に住む高齢者の健康・栄養状態を簡易血液検査キットを用いて調べ、血圧の測定・腹回り測定・検査に必要な問診を行いました。
血液検査の分析データを東北大学病院にて監修・指導をいただき、一人ひとりに検査結果をわかりやすい形で作成し、直接お渡し、説明をしました。
その中で「すぐに病院にかかるべき人(命にかかわる人)」、「できるだけ早く病院にかかる人」(すぐに命にかかわるわけではないが、危険な状態になりうる可能性の高い人)」に対しては、医師のコメント共に、内容についてご本人(家族がごいっしょの方はご家族にも)お知らせしました。
看護士やケアワーカー、生活相談員などによる生活・健康相談や一人ひとりのお話の傾聴を行って、現在の仮設住宅の課題や精神面の状況や事業に対するアンケートを実施(当該事業に関するメンタル面の設問は東京都世田谷区保健福祉センターの精神科医の指導下で作成し、ストレスやうつの状態が回答の合計点数からわかるアンケート)しています。
アンケートのメンタル部分についての合計によるストレスやうつ状態の内容については、健康管理の自立と医療機関との連動を図りました。
東北大学病院の医師と検討の結果、疾病があっても副作用がなく、医学界でエビデンスがあり、なおかつ抗酸化作用などがあるサプリメント2週間分、お水、ネックウォーマーなどを約200名の方に無償で配布しています。


(1)健康支援事業の実施について
以下の流れを仮設住宅で実施しました。
(物資の配布については、お水・お菓子・ネックウォーマー、ミニひざかけなど仮設住宅の自治会や検査対象者の方からの要望があり、助成金対象外経費として主催団体・連携団体・協力団体で配布をしています)

各仮設住宅ごとの事業内容や実施日のお知らせ(ビラ、ポスター、印刷物、現地ヒヤリングなど)
連携団体・関係各所との打ち合わせや、各仮設住宅での打ち合わせを実施。希望者や仮設住宅自治会からの選定で対象者を決めています。
1. 1 ご本人から検査申込書と、採血への同意書・サプリメント配布希望書へご著名いただきます。
*今回の血液検査キットは、特許があり、キットを用いての採決は医療行為にはあたりませんが、念のためご本人からの申し込みや同意書、看護士、ケアワーカー、相談員資格保持者(特定非営利活動法人運転免許取得支援センタースタッフ)を同行して行いました。
2. 石巻市、名取市、登米市、気仙沼市の各仮設住宅で検査や物資の配布を実施。検査は健康に関する質問票や検査キットを用いて行い、血圧や腹周りも測定します。
検査の血液分析が約10日ほどかかり、個別の分析結果が出されます。
*10日は集会場での個別の手渡し(来場できない方は郵送)にかかる期間です
3. 東北大学大学院医学系研究科 障害科学専攻 機能医科学講座 内部障害学分野 教授 専攻長 東北大学病院リハビリテーション部長(内部障害リハビリ部長)上月正博先生が、血液検査データから、「すぐに医療機関にかかるべき人」「なるべく早くかかった方がよい人」にはコメント共に、ご指示をいただきます。
4. 各仮設住宅で、看護師及びケアワーカーが「すぐに医療機関にかかるべき人」「なるべく早くかかった方がよい人」の医師の指示をご本人や家族にお伝えします。 またいろいろなお話を傾聴し、健康・生活相談に対応します。東北大学病院の上月教授の推奨で、副作用がなく、抵抗力を高め還元型コエンザイムQ10を一人あたり2週間分のサプリメントを配布しています。
各仮設住宅で、看護師及びケアワーカーが「すぐに医療機関にかかるべき人」「なるべく早くかかった方がよい人」の医師の指示をご本人や家族にお伝えします。またいろいろなお話を傾聴し、健康・生活相談に対応します。
5. 検査をおこなっていただいた方にアンケートをお願いしています。
*無記名が基本ですが、今回はほとんど全員が記名でお答えくださいました。
アンケートや伺ったお話を無記名にて、集計し、報告書を作成します。
*集計結果は当団体のホームページにも掲載します。

1〜5の活動を6つの仮設住宅で行っています(事前準備も含め、仮設住宅現地での活動は約40回の実施です)

■実施の仮設住宅(全対象者 200名)

宮城県石巻市開成1丁目仮設住宅、名取市美田園1丁目仮説住宅、登米市南方町南方仮設住宅気仙沼市鹿折中学校仮設住宅(東八幡前仮設住宅含)、気仙沼市気仙沼公園住宅仮設住宅

  1. 石巻市開成1丁目仮設受託 51名    男13名   女38名
  2. 名取市美田園仮設住宅   27名    男 4名   女23名
  3. 登米市南方仮設住宅    45名    男 8名   女37名
  4. 気仙沼市運動公園住宅   34名    男12名   女22名
  5. 気沼市鹿折中学仮設住宅  43名    男16名   女27名

<検査人数>

仮設住宅名 総数
石巻市開成 13 38 51
名取市美田園 4 23 27
登米市南方 8 37 45
気仙沼市運動公園 12 22 34
気仙沼市鹿折中学 16 27 43
合計 53 147 200

<検査人数:各仮設住宅男女比>


(2)アンケートの実施について

アンケートは、大きく3つ「事業について」「うつ度」「ストレス度」が結果として分かる内容になっています。「うつ度」「ストレス度」の設問については、回答による配点の合計点数からそれぞれの度合いがわかるものとなっています。「うつ度」「ストレス度」のメンタル面については、東京都世田谷区保健福祉センター 副部長の精神科医 井上医師の指導のもとに作成をおこないました。
*アンケートは強制ではなく、自治会によっては希望により、無記名の提出でも可(今回の記載の集計結果の回答者名はほとんどの方がお名前を記入)

<アンケート集計結果>(満足度回答者200名中134名回答:回答率67%)
■今回の血液検査は独立行政法人福祉医療機構の助成金を受けて無料で実施しているものです。今回のような事業をどう思いますか。理由も教えてください。

仮設住宅名 今回の事業をどう思いますか お話や健康相談されていかがでしたか
とても満足 満足 やや不満足 不満足 とても満足 満足 やや不満足 不満足
石巻市開成住宅 回答数 19 19 3 0 6 10 1 0
46.3% 46.3% 7.3% 0.0% 35.3% 58.8% 5.9% 0.0%
名取市美田園仮設住宅 回答数 5 12 0 0 8 7 2 0
29.7% 70.6% 0.0% 0.0% 47.1% 41.2% 11.8% 0.0%
登米市南方仮設住宅 回答数 17 17 0 0 11 23 0 0
50.0% 50.0% 0.0% 0.0% 32.4% 67.6% 0.0% 0.0%
気仙沼市運動公園住宅 回答数 12 7 0 0 9 10 0 0
63.2% 36.8% 0.0% 0.0% 47.4% 52.6% 0.0% 0.0%
気仙沼市鹿折中学校仮設住宅 回答数 14 9 0 0 8 15 0 0
60.9% 39.1% 0.0% 0.0% 34.8% 65.2% 0.0% 0.0%
合計 回答数 67 64 3 0 42 65 3 0
50.0% 47.8% 2.2% 0.0% 38.2% 59.1% 2.7% 0.0%

●「とても満足」「満足」と回答された方の主な理由(97.8%)
・健康に目を向けることができた。
・思ったより簡単。
・看護師との交流・情報交換が図られた。
・今回の件で仮設の他の人と交流が持てた。
・感じが良く話しやすかった。
・思ったより簡単日頃の生活や活動に役立った。
・日頃の生活や活動に役立った。
・今回の件で仮設の他の人と交流が持てた。
・思ったより簡単、スタッフが親切。
・食事ということが健康につながるということを全く考えていなかった。スタッフの人と話をして毎日の食事を見直そうと思った。

●「やや不満足」と回答された方の主な理由(2.7%)(「不満足」はいませんでした)
・抱えていた問題の解消につながらなかった。(癌の大きさがわからなかったなど)

■お話や健康相談をされていかがでしたか。
●「とても満足」「満足」と回答された方の主な理由(97.8%)
・抱えていた問題・不安の解消につながった。
・役立つ情報が得られた。
・話ができ楽しかった。役立つ情報が得られた。
・親身になって対応してくれました。
・役立つ情報が得られた話ができて楽しかった。
・他の人と交流・情報交換ができた。
・話ができ、楽しかった・すっきりした。
・大勢の方と一緒なので安心できた

●「やや不満足」と回答された方の主な理由(3.5%)(「不満足」はいませんでした)
・スタッフや看護師と話をしなかった。

■当該事業での検査により、健康管理の意識について、(1)身近で検査できてよかった、(2)生活に役立ち、目安ができた、(3)簡単に結果が分かるのでびっくりした、(4)こういった検査を継続してほしい、(5)これからは食事などに注意する、(6)結果を見て病院に行こうと思ったなど

■メンタル面のアンケートは(別紙のアンケート用紙の内容に沿って、回答いただき、精神科医の指導の下に回答を点数化して、集計したものです)

●メタボ判定とメンタル面の集計結果

仮設住宅名 メタボ判定 保健指導区分
メタボ判定 予備軍 正常 積極支援 動機付支援 健康
石巻市開成住宅 回答数 20 7 24 5 2 44
39.2% 13.7% 47.1% 9.8% 3.9% 86.3%
名取市美田園仮設住宅 回答数 6 8 13 1 0 26
22.2% 29.6% 48.1% 3.7% 0.0% 96.3%
登米市南方仮設住宅 回答数 13 3 29 2 1 42
28.9% 6.7% 64.4% 4.4% 2.2% 93.3%
気仙沼市運動公園住宅 回答数 8 4 22 4 1 29
23.5% 11.8% 64.7% 11.8% 2.9% 85.3%
気仙沼市鹿折中学校仮設住宅 回答数 11 7 25 2 5 36
25.6% 16.3% 58.1% 4.7% 11.6% 83.7%
合計 回答数 58 29 113 14 9 177
29.0% 14.5% 56.5% 7.0% 4.5% 88.5%

メンタル面では「積極指導」が必要とされる人が7.0%、「動機付支援」を必要とする人が4.5%。

仮設住宅名 1日1回30分以上どなたかと話しますか ストレスチェック点数
躁鬱簡易テスト ストレス度テスト
いいえ 時々 しばしば 常に 10点以下 11−15点 16点以上 0−5点 6−10点 11−20点 20点以上
石巻市開成住宅 回答数 16 8 3 13 30 8 2 11 17 4 0
40.0% 30.0% 7.5% 32.5% 75.0% 20.0% 5.0% 34.4% 53.1% 12.5% 0.0%
名取市美田園仮設住宅 回答数 5 8 2 2 12 2 2 5 3 7 1
29.4% 47.1% 11.8% 11.8% 75.0% 12.5% 16.7% 31.3% 18.8% 43.8% 6.3%
登米市南方仮設住宅 回答数 15 6 2 11 33 1 0 22 6 5 1
44.1% 17.6% 5.9% 32.4% 97.1% 2.9% 0.0% 64.7% 17.6% 14.7% 2.9%
気仙沼市運動公園住宅 回答数 8 1 2 8 15 2 2 4 4 10 1
42.1% 5.3% 10.5% 42.1% 78.9% 10.5% 11.1% 21.1% 21.1% 52.6% 5.3%
気仙沼市鹿折中学校仮設住宅 回答数 10 4 1 8 21 2 0 10 5 8 0
43.5% 17.4% 4.3% 34.8% 91.3% 8.7% 0.0% 43.5% 21.7% 34.8% 0.0%
合計 回答数 54 27 10 42 111 15 6 52 35 34 3
40.6% 22.0% 7.5% 31.6% 84.1% 11.4% 4.4% 41.9% 28.2% 27.4% 2.4%

10点以下 抑うつはなし 5点以下 この状態が維持できれば言うことなし
11点−15点 境界領域 6点−10点 自分なりのストレス解消法を見つける
16点以上 抑うつ傾向あり 11点−20点 かなりの徹底した心身のリラクゼーションが必要
    21点以上 専門医による診断・治療が必要

「躁鬱」では、境界領域の方が11.4%、抑うつ傾向にある方が4.4%(200人中132名回答)。「ストレス」では、「かなりの徹底した心身のリラクゼーションが必要」とされる方が27.4%、専門家による診断・治療が必要な方が2.4%という結果(200人中124名回答)。

<傾聴や記入欄での記載の一部>
・夫と息子は被災で亡くなった。夫は津波で、息子は医師で自分の患者が心配で病院へ戻って、 巻き込まれて死んだ。息子の嫁と二人で仮設住宅にきたが、今までは息子が車で買い物をしてくれていて、日常生活でも困るし、嫁もいつまでもしばるわけにはいかない。
・目の前で近所の人が流されていった。夜中に何度も目が覚める。
・何もないのに、ふとした瞬間にいまだに涙が流れてくる。泣く気もないのに、おかしいよね。
・仮設住宅は音が筒抜け。お互い様だと思うが、限度がある。
・全く近隣との付き合いもない。
・これからの生活が不安、何となく不安。
・健康状態が悪化した。
・血圧が高くなった。
・風呂が深くて、高齢者は無理。仮設に来てから1回も風呂に入ってない。
・障害者が入るのにスロープ、滑り止めがない。
などお話を傾聴する中で、仮設住宅に移ってからのストレスに対するお話も多くありました。

石巻市開成一丁目での実施の様子(一部)

登米市・気仙沼市の実施の様子


「東北震災被災地の高齢者健康支援事業」とは石巻市での検査や相談対応の実施の様子 名取市美田園仮設住宅での実施登米市南方町南方仮設住宅での実施 気仙沼市では現在実施をしています事業結果はこちら